■「下肢静脈瘤」に気づいたら。

「足に血管のボコボコが浮き上がってきた。」
「足がだるくなって、こむら返りが起こるようになってきた。」
「心臓や腎臓などが悪いと言われていないのに足がむくむようになってきた。」
「足の湿疹が治療しても全く治らない。」
などの症状が出てくると、「下肢静脈瘤」の疑いがあると考えられます。
これらの症状は治療すれば治るので、正確な診断を行い、適切な対処(治療など)を行うことが、日々を快適に過ごしていくためには必要になってきます。
そのためには正確な診断のできる医療機関、場合によって必要となってくる根治術ができる医療機関を受診することが好ましいでしょう。

では、どのタイミングで医療機関に行けばいいか、というと、別に大きな決まりはありません。
「下肢静脈瘤」は基本的には命のやり取りのない病気です。治療をするにしても、その治療の目的はあくまで「生活の質」を上げるために行うものです。
一般的には「下肢静脈瘤」で治療の対象となるのは、「ボコボコが気になる」という見かけ上の問題か、「足がだるい」などの症状で、日々の生活を辛く感じているといった問題を抱えていらっしゃる場合です。そういった場合は治療も視野に入れた受診をしていただければと思います。
また、そうではなくとも、これは「下肢静脈瘤」ではないか、という疑いの気持ち、「血管のボコボコ」はあるが、この先どうしたら良いのか、手遅れは嫌だし、という不安な気持ち、がある場合にも、そういった疑いや不安な気持ちを持たれた時が、受診の好機でもあります。
病気があるかないか、をはっきりさせることにも意味がありますし、現在の「下肢静脈瘤」の状態を正確に把握することも、今後どうしていくかを決定していく助けになるでしょう。
とにかく、不安を感じるとき、困っているときには、気軽に受診してください。

「下肢静脈瘤の診断」
~見た目の診断では不十分、必ずエコー検査が必要です~

「下肢静脈瘤」とは「伏在静脈の逆流により、血管の瘤化(ボコボコする)をはじめとするいろいろな症状が出現する病気」です。
従って、正確な診断を行うには、原因となる「伏在静脈の逆流」の有無やその程度を証明する必要が出てきます。
しかし、「下肢静脈瘤の診断」では、診断、治療の上で、他の病気ではあまり見られない事が起こります。それは、必要な検査を介しての正確な診断をせずとも、あながち間違いではない診断を下すことができ、最良ではないかもしれませんが、間違いではない治療法を提示できる、というところです。
つまり、見た目で「血管のボコボコ」があるものは、「下肢静脈瘤」という診断を下すことができて、それは間違いではない、ですし、また、「下肢静脈瘤」自体が、一般的には命に関わり合いのある病気というわけでなく、「対症療法」として「弾性ストッキング着用」という手段もあることから、特に下肢静脈瘤治療を専門としない一般の医師においても見た目上の診断から、「対症療法」としての「弾性ストッキング」を、「これで大丈夫」ということで処方することが可能となります。(多分、命が大丈夫、ということでしょう。)

しかしながら、そういった判断は、必ずしも患者さんにとって好ましい判断とはならない場合もあります。
まず1つ目に言えることは、見た目だけでは、「一次性静脈瘤」と「二次性静脈瘤」の正確な診断ができていないということです。
「二次性静脈瘤」に潜む「深部静脈血栓症」は見た目だけではわかりません。エコー検査などの検査により診断する必要があります。
「二次性静脈瘤」のかたは、ほんの一握りで、「下肢静脈瘤」のほとんどが「一次性静脈瘤」のかたですので、過剰な心配は無用ですが、「深部静脈血栓症」などの怖い病気はできれば、ちゃんと除外しておくべきで、安心を得るためにも正確な診断を行うべきであると考えます。
また、2つ目に言えることですが、見た目で診断を行い、「弾性ストッキング」を勧めることは、正しい診断を行い、病状がどんなものかを正確に評価をし、それ基づいた適切な治療を行っていく、という「正確な診断に基づく、治療を含めた適切な対応」の機会を患者さんから奪っていることになるのです。
「根治術」などの「手術」が必要であったり可能であったりする患者さんに対して、もしかしたら「根治術」の機会があればそれを希望するかもしれない患者さんに対して、その情報を知らせずに、生涯続く「弾性ストッキング」着用を行わせることが、患者さんにとって本当に良い選択肢とは言い難いと思われます。

現在は「インフォームド・コンセント(説明と同意)」の時代といわれています。つまりは、患者さんに可能な限り、病気に対する情報を提供し、治療法とそのメリット、デメリットを提示し(「説明」)、納得いただいた上で治療法を選択していただく(同意)ことが求められます。そのためにも、まずは正確な診断を得ることが先決となります。
そして、現在においては、正確な診断のためには、少なくともエコー検査を行うことが必要となってくるのです。

「下肢静脈瘤の検査」

エコー検査の発達していなかった時代の「下肢静脈瘤」の診断には、見た目の診察(視診)はもちろんのこと、ドップラー血流計を使っての逆流テスト、責任血管の判定のためのテスト(トレンデレンブルグテストやペルテステストなど)や下肢静脈に造影剤を注入して下肢静脈の状態を調べる静脈造影などが必要でした。
しかし、近年の「エコー検査」の目まぐるしい進歩に伴い、現在の下肢静脈瘤の診断のためには「エコー検査」が主たる検査となり、他の検査を行う必要性はほぼ、なくなってきています。
身体に全く負担を与えず、また短時間で行うことにできる「エコー検査」のみでも下肢血管や周辺組織の多くの情報を得ることができ、これだけでも「下肢静脈瘤」の正確な診断と評価を行うことが可能で、治療方針決定にも事が足りるようになっています。
「エコー検査」では「伏在静脈」の逆流など、逆流のある責任血管の確定や逆流の程度を調べることができるばかりか、静脈の走行の場所、枝分かれのしかたなども把握することができます。また、深部静脈の血栓の有無の判定なども同時に行え、動脈系の異常もわかります。
「下肢静脈瘤」の正しい診断と評価のためにも、少なくとも「エコー検査」を受けていただくこと、をお勧めいたします。

■「下肢静脈瘤」における医療機関の選び方。

 「下肢静脈瘤」と思ったら、どういった医療機関に行けばよいのか、ですが、先にも述べましたが、基本的には「正確な診断に必要な検査、つまりはエコー検査」が可能である施設であること、また、「治療(根治術)」となった場合に、その「治療(根治術)」が実践できる施設であること、が少なくとも必要である、と考えます。
要するに、「エコー検査」ができて「(血管内治療も含めた)手術もできる」施設が適切である、ということです。
「下肢静脈瘤」は「静脈=血管」の病気ですから、「診療科」としましては、「心臓血管外科」または「血管外科」が専門となります。しかし、「下肢静脈瘤治療」のトレーニングを積まれた「外科」や「皮膚科」、「形成外科」などの先生方が中にはいらっしゃいますので、その施設に行けば、どのような検査をしてくれるのか、どういった治療ができるのかを、予め調べていただくことも必要であるかと思われます。
もちろん、正しい診断を行い、適切な治療を行えること、治療による患者さんのデメリットを最小限にすること、などは医療機関としては必要最低限の要素でありますが、それ以外にもう一つの要素があるとすれば、病気に対して迅速に対応できる体制が整っているかどうか、であると考えます。
そういった体制が整っている医療機関のほうが、患者さんの精神的、肉体的負担は軽減されることは確かです。診察のために長時間待つ必要があったり、手術するまで大幅な期間待たされる状況は、必ずしも患者さんにとって好ましい状況ではないといえるでしょう。

先程、血管治療の専門医ということで「心臓血管外科」や「血管外科」を挙げましたが、大学病院を始めとする大きな医療機関の「心臓血管外科」では数多くの「心臓手術」「大動脈瘤などの大血管手術」などをこなさなければならず、限られた手術日を「下肢静脈瘤手術」に割り当てる時間的余裕、人的余裕がない場合もあります。
「下肢静脈瘤」になることで死に至る、といったことはまず、ありえません。
大病院ではどうしても「命のやり取りのある」病気が優先されます。「下肢静脈瘤」など、基本的に「命のやり取りのない」病気は、大病院に行ったからといって、正確な診断と適切な治療を迅速に受けることができるとは限らないのです。むしろ、そういった病気では、診療や治療も時間的に難しい場合がでてくるのです。
最近では、当院のように「下肢静脈瘤」など、限られた病気に特化して専門に扱っている医療機関も多く見られるようになってきました。そういったところでは、「検査」、「診断」、「治療」が一連の流れで迅速に行われることになりますし、専門的なケアも受けていただくことも可能となります。
正確な診断を得て、適切な治療を迅速に受けたい、というご希望があるのでしたら、そういった「下肢静脈瘤の専門」医療機関を選んでいただくのも一手であるかと思われます。

「受診」から「検査」、「診断」に至る流れ

当院での診療の流れを例に取りながら、お話をさせていただきます。
当院では「受診予約」をとって頂いております。これは来院してから極力待ち時間のない状況で診療を行うためです。「来院」していただいたときに、「保険証」とお薬を服薬してらっしゃる方には「お薬手帳」をご提示いただき、待合室にて「問診票」を記入していただきます。
次に、診察室で「問診」を受けていただきます。
「問診」では、
「どんなことが問題で当院を受診されたのか」
「静脈瘤の経過や症状の有無」
「立ち仕事や妊娠など、静脈瘤になりやすくなるリスクの有無」
「今までかかった病気や現在かかっている病気」
「今まで受けた手術」
「ご家族肉親の病気について、特に肉親の方に下肢静脈瘤になった人がいるか」
「服薬しているお薬」
「アレルギーの有無」
などを伺います。
そういったことから、「下肢静脈瘤」の成因や症状の程度、患者さんそれぞれのリスクなどを把握いたします。また「服薬しているお薬」によっては、手術をする場合にはしばらく休薬が必要なるものがあります。

その後、「下肢静脈瘤」の診断の確定のために、「エコー検査」を受けていただきます。
「エコー検査」では、「伏在静脈」の逆流の確認と、逆流の程度を調べます。また穿通枝や側枝との関係なども把握し、もし手術を行うことになれば、どういった手術法が適切かを把握します。
また、「深部静脈血栓」の有無も調べます。「深部静脈血栓」がある場合は、基本的に下肢静脈瘤の手術などはできません。また、特に早期の「深部静脈血栓」は「肺梗塞」などのリスクも有るため、すぐにCTなどで、腹腔内血管や肺血管に血栓がないかを確認する必要があり、もしある場合は、入院による厳重な管理と抗血栓療法などを行う必要が出てきます。
当院でも「エコー検査」によって「深部静脈血栓」を除外しておりますが、見つかった際には、エコー検査での血栓の性状や、病状からも急性期と判断されるものは、緊急での検査や治療が可能な高度医療施設に直ちに受診していただくよう、段取りしております。

「一次性静脈瘤」と診断がついた場合、「伏在静脈」の逆流の程度や、症状の程度により「治療方針」を決定し、「手術適応」となったものは、どういった手術が適切かを検討します。
そういったことを患者さんに説明し、患者さんのご希望も踏まえて、治療方針を決定しております。その中で、手術適応があり、手術をご希望される患者さんに対しては、手術の日時を決定したり、手術準備を直ちに進めていけるようにしています。
基本的には、患者さんのタイミングで、治療などを行うことを考えておりますが、最もお急ぎになる患者さんや、何度もクリニックを訪れる事ができない患者さんもいらっしゃいますので、当クリニックの体制としましては、診断から治療までを可能な限り迅速にできるように整備しております。
もし、手術前の準備などもされるところまで「初診」の段階で行うことがご希望の場合は、当院への来院されてからの滞在時間として約2時間のお時間を頂いております。